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2025年11月JCVとラオスにワクチン接種の視察

NPO法人世界の子どもにワクチンを日本委員会さんが主宰しておりますワクチン支援国への視察に今年も参加させていただきました。

11月16日からの日程で現地を訪問してまいりました。
今回のブログでは、日程順に、海外での生活の様子やワクチンを取り巻く状況について、実際に見て感じたことを交えながらご紹介していきたいと思います。

11月16日の朝、羽田空港を出発し、タイ国際航空を利用してバンコク経由でラオスの首都・ビエンチャンへ向かいました。長時間の移動となり、現地に到着したのは日付が変わる頃でした。

11月17日
翌日は、ビエンチャンからウドムサイ県へ移動しました。ウドムサイ県はラオス北西部に位置し、中国と国境を接する山あいの地域です。標高はおよそ300〜1800メートルと起伏が多く、自然豊かな土地でもあります。
ビエンチャンからはラオス中国鉄道を利用し、約2時間40分ほどで到着しました。

ウドムサイ県では、まず県病院の視察を行いました。先にも触れた通り、この地域は山がちで、病院までのアクセスが決して良いとは言えません。その影響もあり、ワクチン接種率は約85%と、他地域と比べて低い状況にあります。
ワクチンを世界の子どもたちへ届けるためには、ワクチンや医療施設そのものだけでなく、交通網やインフラ整備といった課題も大きいのだと、改めて実感する機会となりました。

その後、ウドムサイ県にあるワクチンの保冷庫を訪問しました。
ワクチンは、製造されてから輸送され、実際に接種されるその瞬間まで、それぞれに定められた温度で管理する必要があります。この温度管理を途切れることなくつないでいく仕組みは「コールドチェーン」と呼ばれており、その中でも各地域に設置されている保冷庫は、非常に重要な役割を担っています。今回の訪問では、こうした保冷庫の運営状況を確認することも大きな目的のひとつでした。

ウドムサイ県はラオスの中でも郊外にあたる山間部に位置していますが、実際に見てみると、想像していた以上に整った設備が備えられていました。首都ビエンチャンから、ワクチンの温度管理はもちろん、保冷庫の扉の開閉状況まで遠隔でモニタリングできる体制が整えられています。また、子どもたちのワクチン接種履歴についても、データとしてしっかり管理されている様子でした。

一方で、これまでの運営は主にUNICEFのドクターが中心となって行ってきたとのことで、今後は現地スタッフへのさらなるトレーニングや体制づくりが課題となっているそうです。現場を実際に訪れたからこそ、設備だけでなく「人」を育てていくことの大切さも強く感じました。

11月18日
この日は、さらに山間部にあるアノー村の小学校で実施される、出張ワクチン接種の視察へ向かう予定でした。しかし当日はあいにくの雨となり、雨量によっては目的地までたどり着けないこともあると事前に説明を受け、不安な気持ちを抱えながらの出発となりました。

移動は、バンから四輪駆動車に乗り換えて行います。主要な道路は舗装されているものの、ところどころに大きな穴があいており、迂回しながら慎重に進む必要がありました。しばらく走ると、道は赤土の未舗装路へと変わります。雨に濡れた赤土は非常に滑りやすく、四輪駆動車でさえもタイヤを取られるほどの状態でした。

途中、同行していたUNICEFの車両が坂を上ることができず、やむなくその場で離脱することになりました。私たちの車も、最後の坂を越えることができず、ぬかるんだ坂道を歩いて進むことになります。雨を含んだ赤土は粘土のように靴にまとわりつき、何度も足を滑らせながらの移動となりました。

こうした体験を通じて、ワクチン接種には医療体制や設備だけでなく、「現地へたどり着くこと」そのものが大きな壁となっている現実を、身をもって感じる一日となりました。

アノー小学校に到着し、実際に子どもたちへワクチンが接種される様子を見学させていただきました。このアノー小学校では、学校から半径5km以内に暮らす住民を対象に、月に1回の出張ワクチン接種と、3か月に1回の総合的な保健サービスが行われています。

しかし、畑の収穫作業などの季節労働に従事する家庭も多く、親が子どもを連れて出稼ぎに出るケースが少なくありません。そのため、地域全体でのワクチン接種率は44%にとどまっているのが現状です。

また、ラオスは想像以上に多民族国家であり、部族が異なるとほとんど言葉が通じないこともあります。この地域ではアカ語を話せる看護師が、母親一人ひとりにワクチンの説明を行っており、言語の壁も、すべての子どもたちにワクチンを届けるうえでの大きな課題のひとつとなっています。

その後、私たちも実際に、子どもたちへの経口ワクチン接種を体験させていただきました。私たちが支援しているポリオワクチンは経口での接種が可能なため、医療従事者でない私たちでも対応することができます。また、注射に比べて子どもへの負担がほとんどなく、安全に接種できる点も大きな特長です。

現場で直接関わることで、ワクチンの仕組みだけでなく、それを「届けること」の難しさと大切さを、改めて実感する時間となりました。

ワクチン接種の実際の現場を見学させていただいた後、別の教室へ移動し、子どもたちにささやかなお土産をお渡しする時間を設けていただきました。日本の学校で使われなくなったピアニカなどの楽器や、文房具を持参したのですが、子どもたちは想像以上に喜んでくれ、その笑顔がとても印象に残っています。

そのお礼として、子どもたちが踊りを披露してくれました。素朴ながらも心のこもった踊りに、思わずこちらも笑顔になります。さらに、バーシーでもてなしていただきました。バーシーとは、相手の健康や幸福を願って行われる、ラオスの伝統的な儀式です。現地の方々の温かい気持ちに触れ、胸がいっぱいになるひとときでした。

その後、アノー村を後にし、私たちはその日のうちにコウア郡へと移動しました。短い滞在ではありましたが、人々の優しさと地域のつながりを強く感じる一日となりました。

11月19日
この日は朝から、コウア郡にある郡病院の視察に向かいました。郡病院という位置づけではありますが、入院患者用の病床や手術室も備えた、いわゆるAクラスに分類される医療機関です。

一方で、実際の設備を見ていくと、厳しい現状も見えてきました。X線検査機は旧式のフィルム式が使われており、そのフィルム自体も入手が難しく、十分に活用できていないとのことでした。また、救急患者の処置が一般の入院病床と同じ部屋で行われる場面もあり、郡病院クラスの施設であっても、予算や設備が圧倒的に不足している現実を目の当たりにすることとなりました。

現地で話を聞き、実際に施設を見学することで、医療体制を支えるためには、継続的な支援と環境整備が欠かせないことを改めて感じさせられました。

その後、PhiJer村の小学校へ移動し、前日と同様に、実際に行われているワクチン接種の様子を見学させていただきました。こちらの小学校では、注射器を用いたワクチン接種が行われており、ここでもボランティアスタッフの方が通訳として現場で活躍していました。

また、この小学校でもささやかな贈り物をお渡しする機会をいただき、子どもたちはとても喜んでくれました。そのお礼として、ここでも子どもたちが踊りを披露してくれ、さらに村の集会所にてバーシーに招いていただきました。地域の方々の温かなおもてなしに、心が和むひとときとなりました。

昼食を終えた後は、再び四輪駆動車に乗り込み、その日のうちにウドムサイ県へと移動しました。移動の多い一日ではありましたが、現地での交流を通して、多くの学びと気づきを得ることができました。

11月20日
この日は移動日となり、午前中は休息の時間にあて、これまでの行程でたまった疲れを少し癒やすことができました。午後からは高速鉄道に乗り、首都ビエンチャンへ戻りました。

11月21日
ビエンチャンに戻った私たちは、中央ワクチン保冷庫、国家ワクチン接種チームの事務所、そしてUNICEFラオス事務所を訪問しました。中央保冷庫には、大型のウォークイン冷蔵庫が6基設置されています。そのうち最も古いものは、1996年に日本政府の支援によって設置されたもので、コンプレッサーは交換されているものの、筐体は現在も当時のまま使用されていました。

いかにも旧式と感じられる保冷庫はその1基のみで、全体としては想像していたよりも新しく、整った設備が備えられているという印象を受けました。一方で、こうした設備の多くは、さまざまな国や機関からの支援によって成り立っているのが現状です。現在のラオスの国家予算だけでは、子どもたちに接種するためのワクチンを十分に確保できる状況には至っていないとのことでした。

自立に向けた取り組みは最優先事項として進められていますが、現時点ではまだ先行きが不透明であることも、率直に共有されました。現場を見て話を聞くことで、支援の継続がいかに重要であるかを改めて実感する訪問となりました。

施設の視察を終えた後、UNICEFのスタッフの皆さまとミーティングの時間を設けていただき、今回の訪問を通して感じたことや気づきを、改めて整理する機会となりました。

現在ラオスでは、必要なワクチン接種を完了できていない子どもが全体の約60%にのぼるといわれています。その背景には、国家予算の不足によるワクチン確保の難しさや医療体制の課題だけでなく、山間部における移動の困難さ、子どもが労働に関わることで接種の機会を逃してしまう現実、予防医療に対する理解を広げていくことの難しさ、さらには多民族国家であるがゆえの言語の壁など、現地の人々の暮らしに深く結びついた、さまざまな要因があることを実感しました。

道路や交通環境、言語面の整備が進めば、ワクチン接種率の向上につながる部分もあると思います。一方で、それらを一律に整えていくことで、地域ごとの多様性や文化が薄れてしまうのではないか、という思いも芽生えました。利便性や効率性だけを追い求めるのではなく、ラオスの人々の生活や文化に寄り添いながら、無理のないかたちで支援を続けていくことの大切さを、今回の視察を通じて強く感じました。

その日の夜の便でビエンチャン空港を出発し、翌朝、羽田空港に到着しました。多くの学びと気づきを胸に、無事に今回の視察を終えることができました。

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